精液検査の方法

精液検査がどのように行われるか、その流れを紹介しよう。

精液の量をはかる
精液が入った容器をスケールに載せて、精液の量をはかる。精液は粘度が高いので、通常の液体をはかるのと同じように他の容器に移しかえると容器の壁に精液が残ってしまい結果が不正確になる。そこで、精液の比重はほぼ1であるので、重さで容積(精液量)を推計している。
精液は最初は粘りけ(粘性)が強いが、25℃の室温に30分ほど置いておくとサラサラになってくる。この状態になったら、全体を十分にかき混ぜて均一な精液にしてから、検査を開始する。
精液の一部をピペットで吸い取り、精子を調べるための専用器機・マクラーチャンバー、または血球計算盤に移す。これを顕微鏡にセットする。
専用の計算盤、マクラーチャンバー。精子の数などを調べるために、0.1mm四方のマス目が刻まれている。
顕微鏡で拡大して調べる
マクラーチャンバーをセットした顕微鏡を覗いて精子の様子を確認、手に持ったカウンターでその数をカウントする。拡大したモニターの画面を見ながら行うこともある。
正常範囲の精子(左)と、数が少ない精子(右)。 0.1mm四方のマス目の中に精子がどれくらい存在するか(総精子数)、元気に動いている精子がどれくらいいるか(精子運動率)、形態が正常な精子がどれくらいいるか(正常形態精子率)などを数え、これを1ml中の数字に換算して、精液所見とする。

※精液検査の結果(精液所見)が基準値に達していれば、検査はここで終了。
もし、基準値に達していない場合は、さらに次の検査を行う。

遠心分離器にかける

  • 採取した精液をすべて、
    長細い容器に移し替える。

  • 精液を遠心分離器にかける。
    すると精子は下に集まるので、これを検査する。
顕微鏡で拡大して調べる
顕微鏡を覗いて(または拡大したモニター画面で)、精子の数や運動の様子を確認、カウントする。実際に精子を目で見て、数を数えることが大事だ。

自動精液検査装置(CASA)といって、目で見る代わりに器械が数える方法がある。その場合は精子とそれ以外の精子に似た夾雑物(きょうざつぶつ)を判別できないため、目で見てカウントするよりも誤差が大きくなることが問題。
また、SMI測定器で器械がプリントアウトするデータをそのまま渡される場合があるが、検査結果が正常ならば問題ないものの、悪い場合には完全には信用できないので要注意。

  • 数を数えるのに使うカウンター。

精液をすべて調べる理由

産婦人科などで行われる一般の精液検査では、採取した精液の一部しか調べていないことがある。 精液所見が悪い場合は、たまたま検査した精液中に精子がいなかっただけで、残りの精液中に存在するかもしれない。そのため、結果が悪かったときには精液の全量を調べることが必要である。WHOのマニュアル(2010版)でも、その方法を推奨している。

WHOのマニュアル
PAGETOP